2009.05.28
【エコム製品ニュース】排熱を拾ってどうする?
10日もブランクをあけてしまいました.
前回は,シェル&チューブ熱交換器をバーナーに仕込んだらという所でとまっていましたね.シェル&チューブ熱交換器は主に液体用で,両端から出入りする流体がチューブ内側を通り,側面のポートに出入りする流体がチューブ外側(シェル側)を通るのが一般的ですが,バーナーに仕込むにはチューブの配置を環状(アニュラ配置)にします.
百聞は一見にしかず・・・まずは下記のHomePageを.
http://www.ecom-jp.co.jp/product/burner.html
この図の例では,細い金属チューブ(伝熱管)が400本以上あります.このバーナが密閉された炉内に装着されると,普通のバーナを使った場合より数10%も燃料が節約できるのです.
前回に延べたようにバーナで火を燃やすには燃料と空気(*1)を炉内に噴出して燃やす必要があります.当然,噴出した体積と同じ分だけ炉内の熱いガスが逃げてしまいます.ところが逃げ道に熱回収装置があったなら・・・
炉内の熱いガスが外に出るには,この細い金属チューブを通って出るしかありません.その通過中に熱いガスの熱が上記(*1)の空気に移し変えられて,再び炉内へ戻ることが出来るのです.
ガスや流体は通過できるのに,それがもっている熱だけは通過できずに逆戻りする・・・これが熱交換器の役目です.
別の見方をすれば,熱交換器は熱の関所とも言えますね.
ある仮定の話をしましょう.
炉内はお金持ちの国です.炉内の国民はみんなお金持ちですが,それを国外に持ち出して旅行する事は出来ない決まりです.国外に出る道路はありますが,お金を持ったまま国境を出ようとする人は,反対車線を入国する仲間に自分のお金を託して,国内にお金を戻さなければなりません.
もしもこんな関所と法律があったなら・・・
炉内の国民は自由に出入国できますが,国は価値(熱)を持ち出される事はありません. 熱という価値を保持しつつ,物質だけを出入りさせる・・・ これが排熱回収熱交換器の役目です.一種のフィルタですね.
こんな例え話だと,子供たちにも熱交換器の役目を説明しやすいのではないかな? と1分ほど前に考えました.
実際にはこの「関所」は完全ではなく,出国者の何割かは隠し持ったお金を国外に持ち出してしまいます.炉内国にとっては資金流出です.それが少ないほうが性能の高い熱交換器といえます.資金流出した分,炉内国には資金(熱・温度)が足りなくなるので補わねばなりません.
子供に解りやすく説明するにはいいかな~と考えた話ですが,大人はなんだか切実になってしまいますね...
金融商品という「隠れ方」で,国をすり抜けた大量の価値が昨今の経済危機を招いたわけで・・・
と,うまくまとまった所で,次回は「高温空気燃焼」のお話を.